FXにはたくさんの通貨ペアがあり、「どれを選べばいいかわからない」と迷ってしまう初心者の方は多いです。通貨ペアによってスプレッド(取引コスト)や値動きの大きさ、情報の入手しやすさがまったく異なるため、最初の選択はとても重要です。
この記事では、初心者が最初に取引すべきおすすめの通貨ペアと、その選び方をわかりやすく解説していきます。
通貨ペアとは何か?基本の仕組み
「ドル円」は「米ドルと日本円の組み合わせ」
FXは2つの通貨を組み合わせて取引します。この組み合わせのことを「通貨ペア」と呼びます。たとえば「ドル円(USD/JPY)」は、米ドルと日本円の組み合わせです。「ユーロドル(EUR/USD)」であれば、ユーロと米ドルの組み合わせになります。
通貨ペアの表記には決まりがあり、左側に書かれた通貨を「基軸通貨(きじくつうか)」、右側に書かれた通貨を「決済通貨(けっさいつうか)」と呼びます。ドル円の場合、米ドルが基軸通貨、日本円が決済通貨です。「ドル円を買う」とは「米ドルを買って日本円を売る」ことを意味し、「ドル円を売る」とは「米ドルを売って日本円を買う」ことを意味します。
最初は少しややこしく感じるかもしれませんが、実際のトレードではアプリ上で「買い」か「売り」のボタンを押すだけなので、この仕組みは「こういうものなんだ」と理解しておく程度で大丈夫です。
メジャー通貨ペアとマイナー通貨ペアの違い
通貨ペアは大きく「メジャー通貨ペア」と「マイナー通貨ペア」に分けられます。メジャー通貨ペアとは、世界的に取引量が多い主要通貨同士の組み合わせのことです。
メジャー通貨ペアに使われる代表的な通貨は次の7つです。
- 米ドル(USD):世界の基軸通貨であり、最も取引量が多い
- ユーロ(EUR):欧州の共通通貨で、米ドルに次ぐ取引量
- 日本円(JPY):世界第3位の取引量を持つ安全資産とされる通貨
- 英ポンド(GBP):イギリスの通貨で、値動きが大きいことで知られる
- スイスフラン(CHF):安全通貨として知られるスイスの通貨
- カナダドル(CAD):原油価格との連動性が高い資源国通貨
- 豪ドル(AUD):オーストラリアの通貨で、資源価格の影響を受けやすい
これらの通貨同士の組み合わせがメジャー通貨ペアです。一方、トルコリラ(TRY)、南アフリカランド(ZAR)、メキシコペソ(MXN)などの新興国通貨を含む組み合わせはマイナー通貨ペアと呼ばれます。マイナー通貨ペアはスプレッドが広く、値動きも不安定になりやすいため、初心者のうちはメジャー通貨ペアから始めるのが安全です。
初心者におすすめの通貨ペアとその理由
米ドル/円(USD/JPY):情報が豊富でスプレッドが狭い
初心者に最もおすすめなのが米ドル/円(USD/JPY)です。日本人にとって最もなじみ深い通貨ペアであり、ニュースや経済番組でも「今日のドル円相場は〜」と日常的に目にします。情報が豊富で相場の動きの背景を理解しやすいことが最大のメリットです。
また、ドル円は国内FX会社のスプレッドが最も狭く設定されている通貨ペアです。スプレッドが狭いということは、取引のたびにかかるコストが小さいということです。1回のトレードでのコスト負担が少ないため、少額で練習しながら経験を積むのに最適な通貨ペアと言えます。
値動きの大きさも、ポンド系の通貨ペアと比べると比較的おだやかで、初心者でも対応しやすい範囲です。まず最初の1つを選ぶなら、迷わずドル円をおすすめします。
ユーロ/米ドル(EUR/USD):世界で最も取引量が多い
ユーロ/米ドル(EUR/USD)は、世界で最も取引量が多い通貨ペアです。取引量が多いということは、それだけ多くの参加者がいるため値動きが安定しやすく、極端な急変動が起こりにくいという特徴があります。
ユーロドルのスプレッドも非常に狭く、ドル円と並んでコストの低い通貨ペアです。チャートの動きも比較的素直で、テクニカル分析(チャートの形やパターンをもとに将来の値動きを予測する手法)が効きやすいと言われています。
ただし、ユーロドルは円が絡まない通貨ペアなので、損益の計算に少し慣れが必要です。ドル円であれば「1円動いたら1,000通貨で1,000円の損益」とわかりやすいですが、ユーロドルの場合はドルベースで損益が計算されるため、最初はピンとこないかもしれません。ドル円に慣れてから2つ目の通貨ペアとして取り組むのがおすすめです。
ユーロ/円(EUR/JPY):ドル円に慣れた次のステップに最適
ユーロ/円(EUR/JPY)は、ドル円と同じく円が絡む通貨ペアなので、損益の感覚がつかみやすいのがメリットです。「1円動いたら1,000通貨で1,000円の損益」というドル円と同じ計算が使えるため、ドル円から移行する際に違和感が少ないです。
ユーロ円はドル円よりもやや値動きが大きい傾向があります。そのため、ドル円で基本的なトレードに慣れたあと、「もう少し値幅を狙いたい」と思ったときの次のステップとして適しています。
スプレッドはドル円やユーロドルよりも少し広めですが、メジャー通貨ペアの中では十分に狭い水準です。ドル円に慣れてきて、もう1つ通貨ペアを増やしたいと思ったときの有力な選択肢です。
初心者が避けたほうがよい通貨ペア
ポンド絡みの通貨ペア(値動きが激しすぎる)
英ポンド/円(GBP/JPY)や英ポンド/米ドル(GBP/USD)は、メジャー通貨ペアに分類されますが、値動きがとても激しいことで有名です。ポンド円は「殺人通貨」という異名がつくほどで、1日に2円〜3円以上動くことも珍しくありません。
ドル円で1日1円の値動きに慣れていた初心者が、いきなりポンド円に手を出すと、想像以上のスピードで含み損が膨らんで冷静な判断ができなくなる危険があります。ポンド絡みの通貨ペアは、ある程度の経験を積んで値動きの大きさに慣れてからチャレンジしても遅くはありません。
トルコリラや南アフリカランドなど高金利通貨のリスク
トルコリラ/円(TRY/JPY)や南アフリカランド/円(ZAR/JPY)、メキシコペソ/円(MXN/JPY)は「高金利通貨ペア」と呼ばれ、スワップポイント(通貨間の金利差から得られる利益)が大きいことで人気があります。「持っているだけで毎日お金がもらえる」という魅力的な響きに引かれる初心者も少なくありません。
しかし、これらの通貨には大きなリスクがあります。新興国の通貨は経済や政治の不安定さから、突然大きく下落することがあります。たとえばトルコリラは過去数年で対円の価値が大幅に下がっており、スワップポイントで得た利益を為替差損(為替レートの変動による損失)が大きく上回ってしまうケースが多く発生しています。
また、高金利通貨ペアはスプレッドが広く、取引量も少ないため、思ったような価格で約定しにくいことがあります。スワップポイント目当てで初心者が安易に手を出すと、想定外の損失を抱えるリスクが高いため、最初のうちは避けることをおすすめします。
通貨ペアを選ぶときの3つの判断基準
スプレッドの狭さ
通貨ペアを選ぶ際にまず確認したいのがスプレッドの狭さです。スプレッドとは売値と買値の差のことで、FXにおける実質的な取引コストにあたります。スプレッドが狭いほど、1回のトレードにかかるコストが小さくなります。
ドル円やユーロドルはスプレッドが最も狭く設定されている通貨ペアです。反対に、マイナー通貨ペアや高金利通貨ペアはスプレッドが広く、取引のたびに大きなコストがかかります。初心者が練習として何度も取引を繰り返す段階では、スプレッドの狭い通貨ペアを選ぶことがコスト面で大きな違いを生みます。
値動きの大きさ(ボラティリティ)
ボラティリティとは、価格がどれくらい大きく動くかを表す言葉です。ボラティリティが高い通貨ペアは短時間で大きく利益を狙える反面、損失も同じスピードで膨らむ可能性があります。
初心者のうちは、ボラティリティが比較的おだやかな通貨ペアから始めるのが安全です。ドル円やユーロドルはメジャー通貨ペアの中でも比較的落ち着いた値動きをすることが多く、初心者が相場の感覚をつかむのに適しています。値動きが激しい通貨ペアは、利益も大きくなりますが「思った方向と逆に動いたときの損失」も大きくなるため、経験を積んでから段階的に取り組むのが賢明です。
ニュースや情報の入手しやすさ
FXで取引する通貨に関するニュースや経済情報が入手しやすいかどうかも、通貨ペア選びの重要なポイントです。ドル円であれば、テレビのニュースや新聞、ネットメディアで毎日のように為替情報が報じられています。アメリカの経済指標(雇用統計やFOMCなど)も多くのFXサイトで速報が配信されるため、情報収集に困ることはまずありません。
一方、トルコリラや南アフリカランドなどのマイナー通貨については、日本語で得られる情報が圧倒的に少なくなります。相場が急変したときに「なぜ動いたのか」がわからない状態では、適切な判断を下すことが非常に難しくなります。自分で情報を集めやすい通貨ペアを選ぶことは、トレードの判断力を高めるうえでもとても大切です。
口座選びで意識したいポイント
取扱通貨ペア数と主要ペアのスプレッド
FX会社によって取り扱っている通貨ペアの数は異なります。多いところでは50ペア以上、少ないところでは20ペア前後です。初心者がまず取引するのはドル円やユーロドルなどの主要通貨ペアですので、取扱数の多さよりも、主要通貨ペアのスプレッドが狭く設定されているかどうかを優先して確認しましょう。
同じドル円でも、FX会社によってスプレッドは微妙に異なります。0.1銭の差であっても、取引回数が増えれば積み重なってコストに差が出てきますので、公式サイトでスプレッドの一覧を比較しておくことをおすすめします。
自分が取引したい通貨ペアに対応しているか
将来的にドル円以外の通貨ペアにもチャレンジしたいと考えている場合は、自分が取引したい通貨ペアがその口座で取り扱われているかを事前に確認しておきましょう。たとえばユーロ円やポンド円はほとんどのFX会社で取引できますが、マイナー通貨ペアの一部は対応していない会社もあります。
また、通貨ペアごとに取引単位(最低何通貨から取引できるか)が異なる場合もあります。ドル円は1,000通貨から取引できるのに、別の通貨ペアは1万通貨からしか取引できないというケースもあるため、少額で複数の通貨ペアを試したい方はこの点も合わせて確認しておくと安心です。
まとめ
FX初心者が最初に選ぶべき通貨ペアは、スプレッドが狭く情報量も豊富な米ドル/円(USD/JPY)です。慣れてきたらユーロ/米ドルやユーロ/円に広げ、ポンド系や高金利通貨は経験を積んでから検討しましょう。自分の資金とスキルに合った通貨ペアを選ぶことが、安全にFXを続ける第一歩です。

